最近の当院における重要課題と取り組みの概要

 最近当院では時代の変化により重要課題が多く発現し、その取り組みに尽力している。

1.2021年の重要課題と取り組み

1)新型コロナウイルス感染症対策推進

今回の貴重な経験を総括し、反省する。それを今後の感染症の予防対策に活かし、他の施設にも役立ててもらうために情報を公表する。新型コロナウイルス感染症に関する当院の論文は、病院誌10編、小樽市医師会だより3編、北海道医報1編の計14編が掲載された。

2)病院機能評価更新審査

受審の目的は医療機能評価を通して、患者が安心して医療を享受でき、職員が働きやすく、そして地域に信頼される病院づくりに貢献することである。結果は2016年の前回と比較してS評価が増加、A評価が減少、B評価が増加し、C評価はなく合格した。現在サーベイヤーの指摘項目の改善に取り組む。

3)地域がん診療連携拠点病院の指定

当院がこれから地域がん診療連携拠点病院を円滑、円満に運営していくには、医療従事者のがん診療を推進する能力と実行力、管理者の見識力とリーダーシップ、そして病院の活力と運営力などが重要である。現在はがん診療、教育、緩和ケアの実践に努める。

4)敷地内薬局設置事業の企画と推進

①当院の医師数(86名)、業務量、会議数の増加により、職員の生活、業務活動に支障をきたすようになり、その環境改善が急務となる。

②小樽市立病院敷地内薬局設置事業は、民間資金を活用して実施する。

③業者選定は6名の審査委員により、1次審査会に参加の5社、2次審査会に選出の2社の審査を厳正に行う。その結果アインファーマシーズ(アイン薬局)が選定された。

④建物は4階建てで、敷地内薬局(地下1階・1階)は土地の賃借料、当院(2階・3階)は建物内の入居スペースの使用料を支払う。

⑤敷地内薬局は当院に対して、職員の教育、人材育成に協力、支援を強く要望する。当院は医薬分業の重視、薬剤師の教育、地域医療の協働などの協力、支援に応じる。

⑥2023年5月1日に開局。当院は敷地内薬局の運営に直接関係せずに、この事業が円滑、円満に実行されるよう調整役として対応する。

2.2022年の重要課題と取り組み

1)医師の働き方改革の実現である。心身健康で働き甲斐のある環境が必要である。

2)患者に安全・安心そして質の高い医療を提供するために、職員定数の増加を市に要請する。その結果40名の定数枠が認められる。

3)医療関係のデジタル化、医療情報システムの整備を推進する。

4)地域医療支援病院の指定を目指す。

①2009年4月に当院は地方公営企業法全部適用となり、初代の小樽市病院事業管理者・病院局長に札幌医科大学名誉教授並木昭義が就任。病院再建には2つの市立病院の統合・新築を最優先して取り組む。それから地域医療支援病院の取り組みを本格的に推進する。

②2014年12月に小樽市立病院開院。その理念は「市民に信頼され質の高い総合的医療を行う地域基幹病院を目指す」である。

③地域医療支援病院の意義と当院の状況

a.地域医療支援病院は「紹介患者に対する医療連携、医療機器等の共同利用の実施等を行い、かかりつけ医等への支援を通して地域医療の確保を図る病院」である。1995年の医療法改正において創設され、都道府県知事が個別に承認する。現在当院では外来診療でのPET-CTが市内の4病院から直接申し込める体制であり、また10名程の市内開業医による入院治療が当院のオープン病床を活用して行われている。

b.地域医療支援病院は「医師の少ない地域を支援する役割を担い、地域で必要とされるさまざまな取り組みを通じてかかりつけ医等を支援する医療機関」と位置付けられる。現在当院では小樽、余市、岩内そして室蘭、八雲の5病院に医師の出張派遣を実施している。

c.道内の地域医療支援病院は現時点で18病院、そのうち市立病院は札幌、函館、釧路である。当院は4番目の承認を期待している。現在当院は医療体制、設備、機器が十分に整っており、小樽・後志地域の医療機関、住民の期待に応えられる。2年前まで承認要件の紹介率(50%以上)、逆紹介率(70%以上)は目標値に達しなかったが、道、国から適切な指導を受けて、現在要件をクリアしている。

④2023年10月に11項目の承認要件全てが満たされており、令和5年度地域医療支援病院指定審査の申請書類一式を道庁に提出する。2024年3月に指定書の授与が予定される。

⑤地域医療支援病院指定後の方針・対応

a.職員は医療の質の5要因の向上に尽力する。すなわち診療の質、患者安全、サービスの質、経営の質、教育、人材育成の質、地域医療連携の質を高めることである。

b.職員には地域支援病院の役割として、特に救急患者、かかりつけ医からの紹介患者に対して、原則として断らないように徹底する。

c.救急・災害医療センターの設置を検討する。

d.予防医療の健診センターの充実を図る。市民に役立つプチ検診の充実、国際的に知名度の高い観光都市として外国人旅行者に喜ばれるメディカルツーリズムを実施する。

⑥当院のビジョン

a.地域医療支援病院として医師、薬剤師、看護師、介護福祉士、行政職員の医療連携と協働作業を重視。患者、住民の在宅医療、地域包括ケアシステムの発展に積極的に取り組む。

b.地域医療支援病院として小樽・後志地域だけでなく、札幌地域との医療連携が大切である。特に2大学病院とは医療だけでなく、教育、研究面での連携を強化する。

これからの医療界は新しい変革の時代を迎える。そして世の中から大きな期待とともに厳しい評価と要望を受ける。この厳しい状況を乗り越えるには、全職員が意欲、団結、頑張りを大いに発揮することが重要である。

このページの先頭へもどるicPagetop

À メニュー
トップへ戻るボタン