新入教室員に対する歓迎と激励の挨拶
平成30年度に札幌医科大学麻酔科学教室に10名の新人の先生方が入局したことは誠に喜ばしく、頼もしく思います。本日の歓迎会には皆さんを心から歓迎し、また皆さんの将来を期待して札幌だけでなく道内の各施設からも多くの人達が参集されています。このことは皆さん方にとっても大変ありがたいことであり、皆さんがこの厚意にそして期待に応えるため決意を新たにしていることと思います。そこで皆さん方にこれからどのような覚悟で活動していくのが望ましいのか当教室・同門会の長老的立場から助言を述べることにします。それには大切なこととして3つの心構えと活動があります。
1つ目はこれから皆さんは社会人として周囲に配慮ができる常識的な態度がとれること、医療人として自分の言動に責任をもつこと、麻酔科医として専門的な高い評価を受けることを自覚して活動することです。
2つ目はしっかりと自分の目標をかかげて、やり抜く強い意志と忍耐強い努力が必要です。
女子スキージャンプの高梨紗羅さんは今シーズン優勝回数の世界新を目指して戦ってきました。しかし大会開幕当初から身体と精神の調子が微妙にかみ合わず不調で負け続けました。彼女はかなり苦しみ、悩みましたが自分に対して慌てず、焦らず、諦めずと言い聞かせ調整しながら頑張り耐え抜きました。オリンピック後の世界選手権第14戦の時にようやく心身のバランスがかみ合い、また好運な風向きに恵まれて優勝し、通算55勝の世界記録を達成しました。
彼女は21歳の愛らしい女性ですがプロ意識の高い超一流の選手であり、しかも皆から好かれ、支えられるすばらしい人柄であり感心します。彼女がよく大会で試合を楽しむという発言をします。この意味は二流選手の自分の欲望、快楽を満たすことを楽しむのとは異なり、彼女のような一流選手達は自分の希望、目標にチャレンジして得られる達成感そして自分の結果を周りの人達が喜んでくれることを楽しむわけです。麻酔科医も同様であり周りの人達に喜ばれ、安心、信頼されるのが一流の証明になります。
3つ目は仕事で結果を出すには自分1人の力だけでなく、自分を支えてくれる人間関係と働く環境が整っていること、そして運に恵まれることが必要です。好運の女神は明るく、素直で、前向きな人に微笑みます。人間社会では明るいから好かれ、素直であるから信頼され、前向きであるのから喜ばれる。そのことから良き人間関係が作られ、そして好運な機会に恵まれることになります。
昨年小樽でニトリの会長が美術館を設立し市に寄贈しました。そのマスコミの会見で彼は会社経営が軌道に乗り、そしてこのような社会貢献ができるようになったのは自分の実力が3割、運が7割である。その運は自分がどのような状況におかれても自分を親身になって支えてくれる人、貴重な助言をしてくれる人達に恵まれたことによる。現在これらの人達と仕事をしていると本当に楽しく、幸せな気持ちになる。後期高齢者になる現在も、もうひと華咲かせようと意欲がわいてきている。それでこれから海外進出に乗り出す意向であると語っていた。私は彼と同じ年齢ということもあり、この言動に大いに刺激を受けました。このことから自分も今の仕事で成果を上げるよう力を尽す意向です。
さて、教室員の皆さんにはこれからいろいろ刺激を受けるチャンスに巡り合うのでそれを積極的に捉えて、果敢にチャレンジする。その過程で自分の考え、活動をチェンジして活躍、成長する。そして組織の発展と社会の繁栄に貢献することを期待します。本日ここに参集の皆さんの健康と健闘を祈り、そして本日の歓迎会が楽しく、有意義なものになることを願って私の助言と挨拶にします。