最近教授に就任した先生方への激励メッセージ

小樽市病院事業管理者・病院局長/札幌医科大学名誉教授 並木昭義

 この度、当講座がめでたく開講65周年を迎えます。最近5年間の令和2年、2000年に新山幸俊先生が秋田大学、そして令和4年、2022年に平田直之先生が熊本大学の麻酔科学講座の教授に就任するというめでたい出来事がありました。二人が教授に選出された要因は麻酔科医として臨床の実力、実績がある、人柄が明るく、素直で、前向きである、そして運、縁に恵まれていることでした。
 さて、新山先生はこれから多くの人達、書物、出来事などに出会って貴重な経験を積んでいくことになります。その過程で人間社会のいろいろな組織にはお互い共通する考えや風習があり、そこから多くのことを学べることです。私は医学・医療界と大相撲界における共通点に強い興味を持っています。新弟子の中で将来有望な力士になる者の共通点は相撲界のしきたりに辛抱強く耐える、強くなるため懸命に努力する、昇進するため根気強く行動することです。相撲界にはいろいろな格言があります。その1つ目は「負けて覚える相撲かな」です。これは負けてもへこたれずに稽古に励むうちに相撲勘と体力が身に付き強くなることです。負けるとは失敗することです。教授に成り立ての頃はよく失敗しますがそれを冷静に客観的に反省することで失敗から多くを学ぶことで実力、実績が付きます。2つ目は「3年先の稽古をする」です。これは今している厳しく、辛い稽古を3年間積み重ねていくことで相撲道の深さを知り、力士としての実力と風格が付くことです。一般社会においても「石の上にも3年」という格言があります。これは人間社会において自分が他人を正しく理解するには、そして他人から自分が適切に理解されるには3年掛ることです。新山先生がこれから教室運営を行うには、少なくとも3年間は焦らず、慌てず、熱くならず、諦めずに良き人間関係を築いて仕事することが大切です。3つ目は横綱は弱くなり勝てなければ引退することになります。そのような厳しい立場、役割にあることを覚悟して、責任を果すことを求められます。教授は横綱と同様な立場、役割にあることをしっかり自覚して行動することが大切です。
 次に平田先生が母校に教授として錦を飾ることを喜ばしく、誇りに思います。
 平田先生はこれから教授という立場と役割をしっかりと果していくことになります。そのために必要な心得があります。
 1つ目は教授はその組織で最もよく働くことです。働くは体を働かす、頭を働かす、そして心を働かすことです。組織をまとめる教授としては個々人に対して心を働かせて適切な対応していくことが大切になります。
 2つ目は自分一人では何も出来ないことを認識して、円滑、円満な人間関係をつくることです。それには相手に対して感謝の気持ち、声掛けが大切です。それができると人から好かれ、信頼されます。ニトリホールディングスの会長は自分が成功したのは自分の実力3割、周囲の人達との良き人間関係が7割であったと述べています。
 3つ目はどん仕事でも人に役立つ、喜ばれるように積極的に貢献することです。その行動を通じて本当の仕事の楽しみ、幸福感を味わうことができるからです。
 二人にとって教授職は厳しく、辛く、孤独な仕事ですがそれだけ光栄でやりがいと達成感を味わえる魅力的な仕事です。この教授の仕事を十分に味わってみるという意欲と勇気をもって行動することです。両先生の健康と活躍そして幸運を祈ってます。
 なお、教室・同門会員の皆さんにとってこの二人の良きお手本が貴重なものになります。それは各個人にも同様なチャンスが巡ってくるからです。さらに当教室・同門会員の中から頑張ってチャンスを成就するものが出現することを願っています。

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