故稲盛和夫氏の思い出と教え

私は2022年8月24日に稲盛和夫氏90歳の訃報に接し、心より哀悼の意を表する。私は稲盛氏の人生の経緯、考え方、行動から大いに学び、影響を受けた。
1)稲盛和夫氏の行動に共感:
私は2009年4月に2つの市立病院の統合、新築および新病院の経営改善を要請され、札幌医科大学の教授を定年退職後に小樽市病院事業管理者として病院再建のため赴任した。
そのほぼ同時期に日本航空が経営破綻し、大きな社会問題が生じ、その再建のために京セラから稲盛和夫氏が会長として赴任し、その対応に当ることになった。稲盛氏も私も就任に当り周囲から火中の栗を拾うことになると心配された。
 稲盛氏の言動には共感と親近感を覚える。稲盛氏は同郷の歴史的偉人である西郷隆盛さんに私と同様に敬愛の念を抱いていた。
2)稲盛和夫氏の背景と意思:
稲盛氏は政府からの強い要請により2010年の2月に「人のため、世のために役立つことが人間として最高の行為である」という自分の信念に従って日本航空の再建のために会長職を無報酬で受けた。このボランティア精神は薩摩藩の郷中教育にあった。稲盛氏にはその精神が引継がれた。
3)稲盛和夫氏の意識改革:
 稲盛氏は日本航空全グループの全社員の物心両面の幸福を追求する、お客様に最高のサービスを提供する、企業価値を高め社会の進歩発展に貢献することを基本理念として行動する意識改革を進めた。組織運営には「組織は人なり」を重要視することであった。
①時代を生き延びる組織は明るい雰囲気である、思いやりがある、コミュニケーションがよくとれている、前向きな姿勢で実行している。
②そこで働く個人は相手への思いやりで自分の求められているもの、よく対話することで自分の果すべき目標、前倒しや経験に囚われず実行することで自分の成長がわかる。
③人間関係の絆が強い組織において人は成長し、組織は発展する。
4)稲盛和夫氏の「六つの精進」の教え:
 哲学なき組織は崩壊する。「六つの精進」は稲盛フィロソフィーの1つである。それは組織人として立派に成長していくための必須要件である。
①誰にも負けない努力をする:一生懸命に働くことで仕事を好きになり、仕事に打ち込むことで創意工夫が生まれ成長する。
②謙虚にして驕らず:謙虚であれば人から好かれ、信頼されるため正しい情報が入る。
③反省のある毎日を送る:反省のある毎日を送ることで自分の人格、魂を磨くことができる。目標が明確になり、成果を上げられる。
④生きていることに感謝する:生きているより、周囲に生かされていることに気付き、感謝し、共に働くことに幸せを感じる。
⑤善行、利他行を積む:人のために善きことを実行すれば運命をよい方向に変えられる。
⑥感性的な悩みをしない:すでに起こったことはいたずらに悩まず、改めて新しい思いを胸に包み、新しい行動をする。
5)稲盛和夫氏はリーダーの育成に力を注ぐ:
①リーダーの存在意義:企業経営をするうえで一番大事なことは経営幹部に立派な人間性を持つリーダーを据える。どんな困難に直面しても、逃げることなく、真正面から取り組む勇気のあるリーダーでなければ会社はおろか、小さな部門さえまとめることができない。
②リーダーの心構え:リーダーは一緒に苦労を共にする社員と常日頃より心の絆を結んでおく。そして存在感、緊張感のある組織作り、使命感、責任感のある社員の育成、働き易い、遣り甲斐のある環境作りを率先して社員とともに実現する。
③リーダーの行動:自分のことは当然であるが人および組織のことをどうあるべきか、あるいはすべきかを常に考えて行動する。
立派なリーダーは人に目標、意義を気付かせ、人を育て、人を活用し、人を働かせ、人を評価し、人に任せ、人から離れ、去っていく。
6)稲盛和夫氏の人物像:稲盛氏の晩年は盛和会の塾長として経営者の人材育成と稲盛財団の創立者として京都賞を創設して人類社会の進歩、発展に功績のあった方々を顕彰してきた。経営者の神髄を極めた誠に立派なリーダーであり,皆から敬愛される人物であった。

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