距離をとってもこころのつながりは忘れずに

 

公認心理師 山崎 典子 (小樽市立病院 認知症疾患医療センタ― 副センター長)

病院広報誌「絆」vol.33 特集より(2020年6月発行)

新型コロナウイルスの流行がなかなか収まらず、私たちの生活にもいろいろな影響が出てきています。

「コロナストレス」という言葉も聞かれるようになりましたが、普段の生活と違うことが起きるとき、私たちの身体や心、行動にもいろいろな影響がでてきます。

 日常と違う状況に対するこういったストレス反応はある意味当然のことですが、ストレスに無自覚に振り回されないよう、まずは自分に起こっているストレス反応に気がつくことが大切です。

 ストレスを軽減するには、生活リズムを整え適度な運動をし、しっかり休むことが必要です。さらに、安心できる人と話をすることや触れ合ったりすることは心身のストレスを緩和すると言われています。「身体を健康に保つこと」と「人とのつながりを持つこと」が安心感をもたらします。

 しかし、今回のような感染症流行時には、誰かと会って話をすること自体が制限されます。また、ストレスや不安から、感染者やその疑いがある人、もしくはそのような人たちと関わりがある人を責めたり排除する行動がとられると関係が分断され、さらに大きなストレスを呼び込む場合もあります。さらに、外出や運動、趣味など普段から行っていたストレスへの対処法も生活の制限のために継続することが難しくなります。

 感染を広げないためにも制限の中でできることを考えなければなりません。

 例えば、部屋の中でできる運動をする、生活の中で頭を空っぽにする時間や楽しい気持ちになる時間を作ることなどを意識して行うことをお薦めします。その他にも試してみることができるストレス対処の例を次ページで紹介しています。ご自分が普段の生活で行っていた対処法を思い出し、そこから工夫してみることもできるでしょう。

 また、このような状況下でも、やはり人とのつながりは大きな力になります。

 先日NHKの番組「ためしてガッテン」(2020年4月22日放送分)でも、直接顔を合わせなくても抱き枕や手触りのいいクッションを抱きながら電話をすることで、不安やストレスが軽減されることが紹介されていました。離れて住んでいる家族や友人に、いつもよりも頻繁に連絡をとられることをお薦めします。この機会に、疎遠になっていた友人に連絡し旧交を温めるなども良いかもしれません。今は直接会うことができなくても、オンラインやSNS、電話などで人とつながることをぜひ大切にしてください。

 

 

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