この世では三条件揃うことが大切である

 条件とはあることが成立するのに必要なことがらである。三つの条件がすべてかねそなわることを三拍子揃うと言う。この言葉の意味は人間社会においていろいろな場面や状況で使われる。

 私は30年以来毎年初日の出を拝みに行っている。感動する初日の出は太陽が人々に周囲を明るく照らし喜びを与える、昇る勢いで勇気を与える、輝く光で希望を与えることである。その他多くの例が上げられる。戦国時代に戦に勝つには天地人、すなわち天の時、地の利、人の和がすべて揃うことである。

 野球の強いチームは攻撃、走塁、守備がしっかりしている。大相撲の世界で強い力士には心、技、体が求められる。勢いのある企業はヒト、モノ、カネが活性化されている。医学・医療界で高く評価されるのは大学の教室では臨床、研究、教育に熱心に取り組んでいる。病院では医療の質、病院経営、医療サービス面が優れている。優秀な人物は自分から考えて仕事をし、人から評価される成果を上げ、社会に貢献する。私を気付かせ成長させた教えは現場、周囲の人達、歴史書など書物からであった。特に私の人生の方向性、人間形成、組織の管理に大きな影響を与えた出来事があった。

 私は大学2年の時に札幌医大野球部の中心選手で北海道代表として東日本大学準硬式野球大会に出場した。第一回戦は山形大学に延長でサヨナラ勝ちをし、二回戦が優勝候補の中央大学であった。コールドゲームにならずに済んだが圧倒的な戦力差を痛感した。彼らは体格が良かった、打球、送球のスピードが速かった、守備範囲が広かったことであった。彼らのほとんどが推薦入学で野球部に入っており、中には甲子園経験者が数名いた。その一方で中央大学には東都リーグ強豪の硬式野球部があり、さらにその上にプロ野球がある。彼らは野球レベルの高さと厳しい現実をよく知っていたと思う。

 私は我々の野球部が所詮医学生の運動クラブであることを自覚するとともに自分の将来が医学・医療の道で活躍し、高く評価されるために最大限努力することであると気付いた。

 さて昨年の8月に札幌で全日本学生準硬式野球大会が開催され、当札幌医大も北海道代表として出場した。その組み合わせをみると第二回戦で中央大学に当るのでその試合の観戦を楽しみにしていた。残念ながら第一回戦で仙台大学に逆転負けしてその機会がなくなった。本大会で中央大学は優勝したがその準決勝を48 年前に試合した時のことを思い浮べながら観戦した。中央大学が強かった要因は選手の体の重心が低いため確実な守備、走塁ができたこと、攻撃、守備のときの選手間の声掛け、間合の取り方が旨かったこと、レギュラー、ベンチの選手が一丸となって勝つために戦っていたことであった。

 しかしプロで通用する選手は見当らなかった。アマの学生野球とプロ野球の差は体力、スタミナの差、それは走り込みの量、判断力特に選球眼、試合で結果を出す執念が違うことである。

 私のこれまでの人生で大切にした心掛けは良き出会いとすばらしい思い出作りをすることであった。良き出会いとは人、社会、時代との巡り会いである。人との巡り会いでは私が困っているとき親身になって助けてくれた、私を実力以上に引き立ててくれた、私との信頼のもと喜んで一緒に仕事をしてくれた人達がいた。社会との巡り会いは私にとって医学・医療界における仕事を通してのことになる。私は教授退職時に教室員に三条件を提示した。

 1つ目は当教室の理念は臨床、研究、教育の活動のバランスを整えながら発展、進化する。

 2つ目はその活動方針は臨床に強く、臨床に役立つ研究を行い、医師として社会人として評価される麻酔科医を育成する。

  3つ目は当教室の伝統を引き継ぐ。伝統とは基本理念をしっかりもって、時代のニーズに合わせて活動方針を変えていくことである。時代との巡り会いはこの世の中で新しい仕事をする、また新しく組織を作り変えていくという場合などである。その時には天地人すべての条件が揃っているかを確認する、そして私のこれまで培ってきた3つの財産すなわち生き抜く知恵、優秀な人材、豊富な人脈を最大限活用することである。

 私は最近常に強く思うのはこの世の中は自分一人の力では何も出来ない、周囲の人達の支え、協力が必要である、自分の仕事、役割をしているのでなくさせて頂いていると知ることである。そのことに対する私の反応は感謝するすなわち自分の受けた好意や親切をありがたく思うことである。人は23日周期の身体、28日周期の感情、33日周期の知性の 3つのリズム、バイオリズムを持っている。これらのリズムの流れを知り、心身のバランスを考えて生きることが大切である。

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