臨床指標
臨床指標(質評価指標とは)
医療の質を具体的な数値として示し、客観的に評価することを可能としたものです。これにより、医療の過程や結果の中に存在している課題や改善点を見つけ出し、医療の質の継続的な向上に役立てることを目的とするものです。
指標を数値化して目に見える形にすることによって、自院が行っている「医療の質」のレベルを知ることができますし、数値が良くなれば改善への意欲も高まります。
当院は、まだこの試みを始めたばかりで十分ではありませんが、今後とも当院が測定している様々な医療の指標をホームページに公表し、最適の医療を提供できる病院となるため、改善を図り医療の質の向上に努めていきたいと考えています。
1
1)病院の活動状況を示す指標
| 臨床指標名 | 単位 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 |
| 1日平均入院患者数(一般) | 人 | 214.3 | 231.5 | 239.5 | 251.8 | 242.4 |
| 1日平均入院患者数(精神) | 人 | 57.4 | 55.1 | 51.5 | 56.1 | 55.2 |
| 平均在院日数(一般) | 日 | 14.0 | 13.4 | 13.1 | 13.6 | 12.0 |
| 平均在院日数(精神) | 日 | 170.2 | 142.0 | 124.2 | 160.5 | 179.0 |
| 病床利用率(一般) | % | 69.6 | 75.2 | 77.8 | 81.8 | 78.7 |
| 病床利用率(精神) | % | 71.7 | 68.8 | 64.4 | 70.2 | 69.0 |
| 1日平均外来患者数 | 人 | 771.2 | 836.3 | 861.2 | 799.2 | 787.4 |
| 全手術件数 | 件 | 4,912 | 5,810 | 6,189 | 5,953 | 6,039 |
| 救急車来院患者数 | 人 | 1,906 | 2,099 | 2,375 | 2,344 | 2,209 |
| 救急車来院患者のうち、即入院患者 | 人 | 1,438 | 1,597 | 1,751 | 1,816 | 1,715 |
| 救急外来受診患者数 | 人 | 2.340 | 2,686 | 3,227 | 2,553 | 2,449 |
| 救急外来受診患者のうち、即入院患者 | 人 | 1,066 | 1,120 | 1,201 | 1,221 | 1,209 |
| 外来化学療法件数 | 件 | 2,049 | 2,156 | 2,126 | 2,549 | 2,804 |
| がん相談件数 | 件 | 277 | 414 | 377 | 421 | 401 |
| 紹介率 | % | 42.5 | 52.2 | 59.2 | 57.4 | 70.6 |
| 逆紹介率 | % | 54.2 | 71.7 | 109.9 | 97.9 | 119.5 |
説明及び算出方法
1日平均入院患者数(一般・精神)
在院患者延べ数÷入院診療実日数
平均在院日数(一般・精神)
在院患者延べ数÷((新入院患者数+退院患者数)÷2)
病床利用率(一般)
在院患者延べ数÷(病床数(308床)×日数)×100
病床利用率(精神)
在院患者延べ数÷(病床数(80床)×日数)×100
1日平均外来患者数
外来患者延べ数÷外来診療実日数
全手術件数
診療報酬の手術区分(Kコード)で算定した手術の総件数
※入院・外来、実施場所を問わず集計
救急車来院患者数
救急車・ドクターヘリで搬送された患者数
※搬送された時間は問わず集計
救急車来院患者のうち、即入院患者数
救急車来院患者のうち、即入院となった患者数
救急外来受診患者数
時間外(17:00以降~翌8:00)または休日に救急外来を受診した患者数
※救急車、ドクターヘリ、自家用車、徒歩など来院方法を問わず集計
救急外来受診患者のうち、即入院患者
救急外来受診患者のうち、即入院となった患者数
外来化学療法件数
通院で行う抗がん剤(化学療法)治療の件数
がん相談件数
がん相談センターで受けたがんに関する相談の件数
紹介率
当院を受診した患者さんのうち、かかりつけ医や他の医療機関からの紹介状を持参されて来院した患者さんの割合を表す数値です。
紹介患者数÷初診患者数×100
逆紹介率
当院からかかりつけ医や他の医療機関へ紹介させていただいた患者さんの割合を表す数値です。
逆紹介患者数÷初診患者数×100
2
2)全自病「医療の質・医療安全の評価公表等推進事業」に係る指標
当院では、全国自治体病院協議会 医療の質・医療安全の評価公表等推進事業※に令和2年度より参加し、臨床指標の分析と活⽤による医療の質の改善活動を推進しています。
※全国自治体病院協議会 医療の質・医療安全の評価公表等推進事業とは
国民の関心の高い医療の質について評価・公表ならびに、自治体病院が地域において担う役割の重要性を見える化し、その一層の充実を図ることを目的として2014年より開始された事業であり、2018年の時点で全国154病院、許可病床合計6万5千床、新規入院数317万の患者像をめぐる医療の指標となっています。各指標に掲載されている値は、全自病「医療の質・医療安全の評価公表等推進事業」の結果より抜粋しています。
全国自治体病院協議会の「医療の質・医療安全の評価公表等推進事業」へのリンク
一般診療科領域
精神科領域
3
3)診療科独自の診療統計指標(精神科)(2020年度)
1.入退院関連指標
病棟別入院患者数
*入院、退院には院内他科からの転入、他科への転出を含む。ただし、精神科開放病棟、閉鎖病棟間の転棟は入院数、退院数にはカウントしていない。
| 2020年度 |
新入院患者数 |
退院患者数 |
延べ入院患者数 |
一日平均患者数 |
平均在院日数 |
| 合計 |
153 |
146 |
20936 |
57.4 |
140.0 |
| 6階東病棟
(開放病棟40床)
|
67 |
68 |
10982 |
30.1 |
162.7 |
| 6階西病棟
(閉鎖病棟40床)
|
86 |
78 |
9954 |
27.3 |
121.4 |
*入退院数は閉鎖病棟の方が多く、開放病棟に比べて入院で約1.3倍、退院で約1.15倍である。閉鎖病棟の平均在院日数は開放病棟に比べて約75%と短い。

*2020年度は新型コロナウィルス感染対策下にあり、院内他病棟でクラスターも発生した。精神科では感染対策に万全を期すとともに、必要とされる入退院は行った結果、前々年度、前年度並みの入退院数、平均在院日数となった。
入院時の病棟別入院形態別入院患者数
| 2020年度 |
計 |
任意 |
医療保護 |
応急 |
緊急措置 |
措置 |
| 合計 |
153 |
65 |
85 |
2 |
|
1 |
| 6階東病棟
(開放病棟40床)
|
67 |
54 |
13 |
|
|
|
| 6階西病棟
(閉鎖病棟40床)
|
86 |
11 |
72 |
2 |
|
1 |
*1年間で措置入院が1名、応急入院が2名あった。

*任意入院率は前年よりわずかに低下して42.5%。
90日以内の退院率
*その年度に退院した患者のうち90日以内に退院した者の割合
分母:その年度の退院患者数 分子:そのうち90日以内に退院した患者数
| |
退院患者数(人) |
うち、90日以内の退院 患者数(人)
|
90日以内の退院率 |
| 2019年度 |
150 |
97 |
64.7% |
| 2020年度 |
153 |
102 |
69.9% |

*90日以内での退院率は過去6年間で2017年度が最も低かったが、その後上昇している(=短期間での退院が増えている)。
入院患者残存率
*その年度に入院した患者が、月数経過とともにどれくらい入院を継続しているかの比率
分母:入院患者数 分子:その月までに退院しなかった患者数(=入院総数-その月までに退院した患者の数)

*2020年度はこの5年間の中でいすれの月数経過時点でも残存率が低かった。つまり、入院が短期間化していた。これは新型コロナウィルス感染対策下での新たな入院では、症状改善とともに例年以上に速やかに退院したと推定される。
新入院患者数(診断別、年度別)

*新入院患者の診断別では、前年と比べてF1、F3が減少、F0、F4,5が増加。
6年間の傾向としては、F0、F2、F3が減少、F4,5が増加。過去5年の傾向と異なり、2020年度はF0が増加し、F1が減少した。

*前年に比べ、F0の増加が目立ち、総計の増加に寄与している。それ以外には前年と比べて大きな変化はなかった。
6年間の動向を見ると、F2の増減が特に大きな影響を与えており、2018年度、2019年度は毎年5-6人ずつ減少してきたが、2020年度は下げ止まっている。F0も減少傾向だったが、2019年度以降上昇に転じている。
再入院率(退院後30日以内、退院後90日以内)
| |
新入院患者数 |
再入院数
(30日以内)
|
再入院率
(30日以内)
|
再入院数
(90日以内)
|
再入院率
(90日以内)
|
| 2019年度 |
145 |
3 |
2.1% |
10 |
6.9% |
| 2020年度 |
153 |
18 |
11.8% |
23 |
15.0% |

*再入院率が大幅に低下した2019年度と逆に、2020年度は再入院率(特に30日以内)が大幅に上昇した。残存率、短期間での退院率で見られたようにコロナ禍により入院期間の短縮を余儀なくされた一方で、再入院率の上昇を招いた可能性がある。
2.入院・外来その他の指標
外来患者数
| |
新来患者数(人) |
再来患者数(人) |
合計(人) |
| 2019年度 |
631 |
20901 |
21532 |
| 2020年度 |
593 |
17466 |
18059 |

*前年と比べて再来患者が大幅に減少し、新来患者も減少した。
最も大きく影響したのは、院内クラスターにより約3週間外来を原則休止したことである。この他、コロナ禍による受診の差し控え、再来患者の長期処方化が影響している。また、2019年度までの5年間の経過としては新来患者数は減少傾向、再来患者数に著変はなかった。
精神科デイケア

*2020年度は新型コロナウィルス感染対策のために大幅に減少した。要因は複数考えられる。まず、過密環境にならないよう参加定員を減らした(1日当たり25-28人だったのを、2020.4から最大19人、11/24から17人に制限)。また、院内で発生したクラスターのため、8月下旬から10月上旬まで、約1か月半の休止を余儀なくされた。
精神科作業療法 診療報酬算定件数
| |
入院 |
外来 |
医療観察法 |
合計 |
| 2019年度 |
2526 |
340 |
113 |
2979 |
| 2020年度 |
2570 |
0 |
79 |
2649 |

*2020年度はコロナ感染対策のため、外来OTを休止し、入院の個別OTも減った。一方、病棟からデイケアに参加出来なくなった患者が病棟でのOTに参加した結果、入院OTの総数は維持される結果となった。
精神科訪問看護 診療報酬算定件数
| |
件数 |
退院前訪問 |
訪問看護登録者 |
新規登録者数 |
| 2019年度 |
598 |
5 |
47 |
4 |
| 2020年度 |
374 |
9 |
41 |
6 |

*新型コロナウィルス感染対策のため、訪問看護は前年の6割程度に減少した。
心理室業務
| |
カウンセリング |
心理検査 |
新患インテイク、
陪席
|
グループワーク |
職員実数 |
| 2019年度 |
471 |
165 |
56 |
57 |
2 |
| 2020年度 |
483 |
141 |
37 |
49 |
2 |

*感染を懸念しての受診控えやクラスターによる外来停止はあったものの、心理検査やカウンセリングの件数には大きな影響はなかった。
mECT施行件数、クロザピン使用患者数
| |
mECT
施行患者実人数
|
mECT
施行件数
|
クロザピン
使用患者実人数
|
クロザピン
新規開始患者数
|
| 2019年度 |
2 |
16 |
2 |
0 |
| 2020年度 |
3 |
31 |
|
|
病棟面会者数

*コロナ禍にあり病院全体としての面会制限が行われるようになり、2020年度は病棟での面会はほとんど行われない状況が続いた。
隔離の1日平均実施人数、入院患者数に対する隔離実施率

*隔離患者実数、入院患者に占める隔離率ともに増加傾向にあり、共に過去最高になった。
身体的拘束の1日平均実施人数、入院患者数に対する身体的拘束実施率

*身体的拘束数、拘束率ともに増加し、過去最高になった。

*当科ではミトン手袋やつなぎ服着用も身体的拘束としてカウントしており、内訳を示した。
3.薬剤関連指標
抗精神病薬の単剤化率、併用数(入院患者)
| |
入院患者数 |
抗精神病薬服用患者数 |
単剤化率 |
2剤以下の比率 |
平均併用剤数 |
| 2019年10月 |
51 |
42 |
54.8% |
81.0% |
1.37 |
| 2020年10月 |
57 |
44 |
50.0% |
84.0% |
1.28 |

*平均併用剤数は年々減少しているものの、単剤化率は前年よりも低下して50%になった。
抗精神病薬のCP換算値
| |
入院患者数 |
抗精神病薬服用患者数 |
CP換算 (mg) |
| 平均値 |
中央値 |
最大値 |
| 2019年10月 |
51 |
42 |
537.17 |
325 |
1853.03 |
| 2020年10月 |
57 |
44 |
487.22 |
300 |
2025 |

*平均値、中央値ともに前年より減少し、過去最も少ない量になっている。

抗精神病薬処方中のBPD換算値
| |
入院患者数 |
抗精神病薬服用患者数 |
うち、BPD服用患者数 |
BPD
併用率
|
BPD換算 (mg) |
| 平均値 |
中央値 |
最大値 |
| 2019年10月 |
51 |
42 |
10 |
23.8% |
0.67 |
0 |
6.00 |
| 2020年10月 |
57 |
44 |
8 |
18.2% |
0.57 |
0 |
6.00 |

*抗精神病薬によって生じる錐体外路症状に対し、ビペリデンは最も多く使われてきた薬剤である。しかし、ビペリデンはまた、抗コリン薬であるが故に便秘、口渇他を生じさせる。このため、適切な抗精神病薬をできるだけ少量の使用にとどめ、ビペリデンの処方も避けるべきだと言われている。
当科のビペリデン併用率は2019年度、2020年度と大きく減少してきている。
催眠鎮静系薬のDZP換算値
| |
入院患者数 |
催眠鎮静系薬服用患者数 |
DZP換算値 (mg) |
| 平均値 |
中央値 |
最大値 |
| 2019年10月 |
51 |
40 |
4.01 |
2.50 |
17.5 |
| 2020年10月 |
57 |
48 |
5.10 |
2.08 |
42.0 |

*ベンゾジアゼピン系薬剤はふらつき、転倒、認知機能低下の要因になり、依存性、習慣性を持つため、処方しないあるいは少量にとどめることが推奨されている。
当科の処方量は一貫して減少傾向が続いている。ただし、2020年度は高用量の方が2名いたために、平均値は前年に比べて増加した。