脳神経内科よりご挨拶

診療を開始してから9年が経過しました。
当診療科では一貫して内科的な脳神経疾患の発見、 診療に専念しています。
脳神経内科においては保存的内科的にみる頭蓋内疾患はもちろん対象になります。
急性発症の脳梗塞が運動機能麻痺をきたす脳疾患として頻度が高いのは周知の事実ですが、 緩徐に障害が進むいくつかの疾患群があります。
以前の当院広報誌でも述べましたが、 当管内では独居高齢者が、症状が進行した段階や自宅で倒れている状態で発見されて搬送される場合があります。 それにとどまらず、 神経系が関与する疾患は手足の末端にまで至るため末梢の筋力低下や感覚障害などの症状が出る疾患は広く当科の診療対象になりますが主な疾患として下記のものがあります。

神経変性疾患

成人後老年期にかけて認知機能が衰えるアルツハイマー病を始めとする認知症は広く知られていますが緩徐に動作が鈍くなり歩行が遅くなる疾患があります。
パーキンソン病が代表的な脳神経内科疾患であり昔から知られていますが根本的な発症機序はまだ不明なところがあります。 しかし複数の画像検査手段が普及しており治療薬の種類も増えより個別の症状に応じた治療ができるようになりました。
  当院ではパーキンソン病及びその類縁疾患の診断のため2つのシンチグラム画像検査が可能です。
ドパミントランスポーター(DAT)スキャンはその原因としての脳内物質の欠乏状態を直接可視化するものです. ただし神経領域の薬剤を服用している場合にその影響で画像に影響が出る場合があり検査前に中止する必要があります。 もう一つの検査は心臓の検査(MIBG心筋シンチグラム検査)ですがパーキンソン病により特異的な検査として早くから用いられているものです。
これらの検査は図のように設置以来、 一定の割合で他の医療機関にも利用してもらっています。 パーキンソン病の症候自体は比較的似た経過をとるためこの疾患に理解のある他施設の先生方に今後も活用していただきたいと思います。

末梢神経・筋疾患

 脳神経内科では脳や脊髄以外の末梢神経やこれに直接支配される筋肉の疾患も診療対象になります. 四肢の筋力低下やしびれの症状に対して画像検査で異常が見つからない場合診察や画像以外の補助検査で病気を調べることになります。
外科治療の対象となる脳脊髄疾患との鑑別や糖尿病、 リウマチ性または膠原病などの他の内科的疾患に伴う場合などが問題になり脳神経内科での対応が適切な領域です。

免疫性神経疾患

聞き慣れない用語かもしれませんが比較的若い人がしびれや脱力をきたす病気で脳や脊髄を構成する神経細胞を覆って保護する[髄鞘]という成分が障害される”多発性硬化症”のような脱髄疾患や”脊髄炎”のような炎症反応を伴うものがあります。
現在では脳内から末梢の筋肉の疾患に至るまでの多くの疾患についてその発病過程につき免疫反応の機序による解明が進み新たな治療薬がふえています。

上記疾患の診療のため出張専門医による対応を行っています。

重症度により入院が必要になる場合もありますが当院は管内随一の救急・基幹医療施設としても位置付けられているため, 患者家族の方の都合が許す限り早期に関連病院への入院も可能なように選択の幅を広げています。

文責 脳神経内科外来(事務取扱) 井原達夫

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