小樽市立病院開院記者会見概要
12月1日に開院した小樽市立病院で開院式典の後に記者会見が行われました。
市長及び病院局長の会見内容は以下のとおりです。
(市長)
おはようございます。今日は、朝早くからおいで頂きありがとうございます。7時半に1階エントランスホールでテープカットを、その後、講堂において開院記念式を執り行いました。
振り返りますと、15年前、平成11年に市立病院の統合・新築に取り組み始め、大変長い時間掛かりましたが、何とか市民の皆さんが信頼できる病院を造ることができ、私としても大変嬉しく思っております。特に、平成23年の市長選挙に立候補した際に、市民の皆さんが安心して診療を受けられる病院を造りますということを市民の皆さんにお約束したわけですので、市民の皆さんとのお約束もこれで一つの区切りとして守ることができたと思っているわけであります。
しかし、予想もできなかった平成23年の東日本大震災という大きな災害があり、その復興のために病院の建設資材が確保できない、当初計画どおり建設資材を仕入れることができなかったなど色々なことがあり、事業として予定どおりできるのだろうかという不安も実はあったところです。ご承知のとおり、入札もスムーズにいかなかったという問題もありますし、労務者がいないという大きな痛手もありました。
当初から平成26年の雪の降る前までには開院したいとお約束していたわけですので、本当に雪が降る前までに開院できるか不安もありましたが何とか、お約束どおりできたと思っております。
しかし、これで終わったわけではありません。駐車場が確保できないという問題もあり、駐車場が整備されて初めてグランドオープンということになると思います。旧市立小樽病院を取り壊して、来年10月頃までには約250台収容できる駐車場を確保したいと思っています。
両病院に入院されていた患者さんの移転も昨日無事終わったということで、先ほど並木局長の挨拶にありましたが、節目、節目には天気にも恵まれました。昨日の患者さんの移転についても、夜遅くまで掛かったらどうしようという心配、不安もありましたが、午後2時過ぎには終わったということで、職員と関係者の努力もありますが、天気に恵まれたというのも大きな要因かと思っています。
最後になりますが、ある程度皆さんから信頼いただけるような建物と医療機器は整備できましたが、後は中身をしっかり取り組んでいかなければなりません。市民の皆さんの大事な命を預かるところですので、職員一体となってこの病院の運営に取り組んでいきたいと思っております。皆さんのご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。
私からは以上です。
(病院局長)
ようやくここまで来たかという感じで、ここまで走り切ってきたというのが偽らざる心境です。
私は、平成21年の大学の定年退職時に、病院事業管理者就任の打診があり、いろいろありましたが、喜んでこの小樽へ来たわけであります。
私の先代の教授が小樽出身で、私がここに来るときに、貴方は市立病院だけではなく小樽市全体のために行きなさいと言われ、そのことを絶えず頭の中に入れながら、今までやってきたつもりであります。
ここの病院は、平成21年度に地方公営企業法を全部適用し、私が事業管理者に就任いたしました。その時、再編ネットワーク化協議会というものがあり、その議長をさせていただき、再編するのは市立小樽病院と小樽市立脳・循環器・こころの医療センターの二つ、あとの三つの公的病院はそれぞれが特徴を出して連携を強めてやっていくという話し合いが行われ、私どもは、がんの診療、脳・神経疾患診療、心・血管疾患診療をメインでやっていく。済生会小樽病院は整形外科に力を入れる、協会病院は周産期医療に力を入れる、掖済会病院は消化器病を中心にやっていくということで、それぞれが特徴を出し、互いに連携していくということになりました。また、ネットワーク化協議会では、市立病院の病床数の問題など様々な意見があり、それを頭に入れながら、私自身がこの病院の病床数388床を含めいろいろな課題の対応策を決定し、今ここに新病院が建ったところであります。
私は、経営改善のためだけに来たわけではなく、小樽、後志地域に良い医療を施して、信頼される医療をつくる、そのためにも人材教育を含め、コミュニケーションが大切だということに力を注ぎ、時間は掛かりましたが、今日に至ったわけであります。
お陰様で、大学教授などに見学会にお越しいただいたり、ホームページを見て先生を派遣していただけるというような新築効果が出ており、そういった方や今いる職員を含め、良い医療を行うように頑張ってまいりたいと思います。
皆さんご承知のとおり、これまではいろいろな誤解の上で、市と医師会がギクシャクした感じがあったと思いますが、その橋渡しをするのが私の仕事として取り組みました。その中で、重要なのは情報を公開すること、共有すること、活用すること、この三つがしっかりと行われればお互いに分かり合えるということで、今は病院局と医療団体を含め、関係者の間には円滑な関係が結ばれていると思います。私は、これが市民のためになるものと確信しており、これからも連携を深めてまいりたいと思います。
小樽市だけではなく後志地域の医療が、より円滑に行えるよう、私どもも力を尽くしていきたいと思いますので、皆様には正しい情報を伝えていただきたいと思います。そのためには、会見なども致しますので、市民の皆さんに伝えていただければ幸いです。
これからも何かと皆様にお世話になることと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
出席した報道機関の記者から、下記のような質疑がありました。
(事務部長)
ご質問等ございましたら、どうぞご発言ください。
(記者)
病院局長の挨拶の中で、円滑な診療、がんの診療、脳・神経疾患診療、心・血管疾患診療に力を入れるとお話がありましたが、そのほかにも新しい病院の将来像、小樽、後志のどのような病院を目指すのかお聞かせください。
(病院局長)
これから医療は確実に変わっていきます。役割分担、機能分担が行われます。これは国の方針でもあり、私どもの目的は、小樽、後志の総合病院として、地域完結型の病院になろうと思っております。小樽、後志の患者さんをここで治療してほしいと、大学だけではなく市内の先生方もおっしゃいますし、札幌で治療してその後は小樽で経過を診てほしいとも言われております。私としては、最先端の医療よりも、最良の医療を行える総合病院にしたいと思っています。
(記者)
札幌まで行かなくても小樽で治療を完結できる医療機関ということですか。
(病院局長)
そのための医療機器を今回揃えたつもりです。
(記者)
ようやくここまで来たという、中間地点だというお話ですが、その意味は。
(病院局長)
建物、ハード面はできました。重要なのは、今後この病院がどうやって患者さん、地域のために役立てる病院になっていくかが、我々に問われている重要な問題だという意味です。建物ができたのは丁度半分だと、あとの半分は、機能面を最大限生かして、患者さん、地域の方のお役に立てればという意味で、中間地点という言葉を使いました。
(記者)
今までの病院に無かった新しい機器や、受付方法を含めた新しいシステムなど、患者さん、利用される方の目線から、今まで無かった売りというものを簡単に説明してください。
(病院局長)
先ず、災害の時に役立つヘリポートを造りました。また、がんの診断のためにPET-CTを入れました。治療のためには、リニアックという放射線治療装置を入れ、11月にはその専門の放射線治療医を採用しました。旧病院より性能の良い治療装置ですので、多くの患者さんが小樽で治療できるというレベルに達します。さらに、今後はインターネットを用いた連携が必要となってきますので、色々な医療機関に広めて、情報を医療者間で共有していくことを積極的に進めていきたいと思っております。
もう一つは、小樽病院も医療センターも(外の方が見て)何をやっているかわからないということを言われましたので、地域医療連携室を作り、こういう先生がいて、こういう治療をしているということを、積極的にアピールして、患者さんに知ってもらいたいと思います。
これからの医療は選ばれる時代になります。当院も、社会のニーズ、患者さんから求められる病院になれるよう情報を収集し、それに合うような形を目指して頑張っていきたいと思っています。
(記者)
駐車場ですが、来年10月に250台収容できるとのことですが、現状、この周りで何台、それまでの間、臨時的なものを手当てするのか、その辺をお聞かせください。
(病院局長)
市立小樽病院のところを更地にして250台の駐車場を造ります。それまでは、この近辺に三つの臨時駐車場として計100台くらい用意しています。アスベストの問題もあり、慎重に取り壊さなければならないことから、来年の10月くらいまで時間が掛かります。3カ所の駐車場は、患者さんが迷わないように案内を含め対応いたします。
(記者)
この建物の周りで一般の方が利用できる駐車場はあるのですか。
(市長)
病院の周辺にはありません。局長から話があったように3カ所の臨時駐車場がありますが、そこはちょっと離れています。できるだけご不便を掛けないようにと思っていますが、この周辺に中々確保できないものですから、この間患者さんにはご迷惑をお掛けしますが、ご理解いただきたいと思います。
(事務部長)
補足いたします。市長が申し上げたように、基本的にはこの病院の敷地内には駐車できない状況ですが、救急に支障のない範囲で正面玄関の海側を20台ほど使えるようにしています。20台ですから、皆さんが使用されるには足りません。市長、局長からあったように、近隣の3カ所合わせて約100台用意しております。市民の皆さんにはご不便をお掛けしますが、ご理解いただければと思います。
(記者)
周産期医療の問題ですが、今回分娩を中止することになった協会病院に対し、財政的な支援の必要性があるということはかなり以前から言われていましたが、そのことについての見解をお聞かせください。
(市長)
先般の定例記者会見でお話させていただいたとおりですが、先々週の月曜日(11月17日)に協会病院さんからそういったお話をいただき、その後、情報の収集、事実関係の把握を行っていました。先方も周産期医療をやめますというところまで至っていない、来年医師が退職するので新規の受付が難しいという状況ですから、この後どうなっていくのか、先ほど並木局長からあったようにそれぞれの病院の役割分担というのがあり、その中で協会病院さんは周産期医療を担っていただくということでずっと来ておりますので、今後協会病院さんとの話し合いを続けていきたいと思いますし、今は、その話し合いを続けていく段階と思っています。
ただ、私としてはこの小樽、後志地域で周産期医療ができないとなると大変大きな問題につながっていくと思っています。何とか周産期医療についてできるような形を模索していきたいと思っております。
(記者)
協会病院の方は産科の医師が二人になる見込みで、それを回復するのは一般的にはかなり難しいと思われますが、具体的にはどのような方策が考えられるのかお聞かせください。
(市長)
それは協会病院さんにいろいろと考えていただきたいと思っています。例えば、今協会病院さんにおいでになっている医師は札幌医大の医師とお聞きしていますが、医育大は札幌医大だけではないでしょうから、いろいろな形でご努力いただいて、医師の確保につなげていただきたいと思っております。
(記者)
現段階では、医師を確保して周産期医療を続けるように要望していくということでしょうか。
(市長)
協会病院さんには、引き続き医師確保の努力をお願いしたいと思っております。
(記者)
万一、要請が難しい場合、市立病院で引き受けることは可能でしょうか。機能的なものとか、受け入れる余地はあるのかお聞かせください。
(市長)
そうならないように協会病院さんには頑張っていただきたいと思いますが、そうなった時には、次の手としてどういう形が良いのか、今記者さんがおっしゃったようなことを含めて検討していく必要はあると思います。ただ、簡単に、今日ダメになったから、明日からできると、そういうことにはならないと思いますので、かなり時間は必要になってくると思います。今質問のあったことも一つだと思いますし、いろいろなことを検討していかなければならないと思います。
(記者)
病院の経営について、外部評価委員会からも人件費比率など高コスト体質の改善など指摘されていますが、これらをどのように改善されていくのか、お考えをお聞かせください。
(病院局長)
病院事業管理者の会議でも経営的に良いところ、悪いところはどこが違うのか検討しています。はっきりしているのは医師の数です。医師数が多いと収入が増えます。そうなると、人件費比率も下がってきます。私どもとほぼ同じ規模の病院で、経営が良いところは私どもの倍くらいの医師が働いています。今重要視しているのは医師の確保です。大学方面に働き掛けて、先ほど申し上げた新築効果により、整形外科、婦人科の先生も復活してもらえます。また、新病院になり、ホームページなどを見た何人かの医師から勤めたいという話も来ています。
これまで3名だった研修医の枠が来年度から5名になるほか、北大からたすき掛けで2名の研修医を派遣したいと言ってきておりますし、統合・新築が非常に良い効果があり、この病院に行きたいという雰囲気を作り上げる、そのためにも私は医療機器、設備を揃えることに努め、ここだったら大学と同じことができるとなりますと、大学からも派遣していただけるということで、医師の確保に努めております。
(事務部長)
ほかになければこれで終わります。