2021年新年の局長メッセージ

 2021年令和3年の仕事始めの日を皆さんと伴に元気に迎えることが出来て喜ばしく思う。今年はコロナウイルス感染拡大が続いており、地域感染症指定医療関連機関である当院の果たす役割が医療面だけでなく、経営面においても大きな負担になり、大変な厳しい運営状況である。当院がこの難局を乗り越えるには職員皆が覚悟と勇気をもって、一致団結して挑戦する。そして社会から理解と協力を得て状況を良い方向に変化させることが強く求められる。当院の今年度に果たすべき課題を達成するには職員に課題の意義をよく理解してもらうことと実行するやる気と責任を自覚してもらうことである。そのためには職員達に興味のある、有意義な言葉を伝えることが必要であり、年末年始にそのための情報を収集した。
 今年は丑年である。丑年では黙々と目の前の自分の仕事をこなすことが将来の成功につながると言われる。私は高島易断本暦の本で1944年二黒土星生まれの今年の運勢を調べた。そこには「何事もスムーズに進展せず気持ちが焦る場面が多くなるが先を急がず着実に仕上げる気持ちが大切である。焦らない、急がないと念仏のように唱えてゆっくりとした気持ちで前進して行くことである。人は気持ちがリラックスした時は最大の能力を発揮できる。物の考え方や行動の仕方で運勢は大きく変わっていくものである」と貴重な内容であった。
 天皇陛下の新年のビデオメッセージは立派であった。それは「医療従事者が困難に直面し、支援を求めている人達に対して大変な努力と献身的な態度で医療に携わっている。その行為に対して深い敬意と感謝の念を表する。これまで疫病や自然災害に見舞われてきた人類の歴史を振り返ってみると、その度団結力と忍耐をもってそれぞれの試練を乗り越えてきた。従って皆さんにはお互いに思いやりを持って助け合い支え合いながら進んで行くことを心から願っている」と心に染みるメッセージであった。なお団結力と忍耐は困難な事態を乗り切る人間の知恵である。団結は志気を高めて協力する。そして忍耐は我慢して耐えるであり、いずれも目的達成のために必要な行動である。この度医療従事者は多くの国民から感謝だけでなく敬意の意を示される。感謝はお互いの信頼から、敬意は献身的な行為から生ずるものである。
 今回のコロナ感染症で案じられたことはコロナ感染者や対応に当たる医療従事者に対する偏見や差別的言動である。これはウイルス感染症に初めての経験から生ずる不安、不満、不信によって生ずるものである。その対応には3段階がある。まず精神的に余裕をもてるように指導すること、そして困難を乗り越えて自信、実力が付くように励ますこと、さらに指導的立場で活躍できる夢を与えることである。精神的に余裕をもたすには周囲の状況に文句を言うのではなく自分がすべきことを冷静に考えさせることである。歌手でノーベル文学賞のボブ・デュランの歌に「やらなきゃならないことをやるだけさ、やるべきことをやるんだよ」の歌詞があり、物事にこだわらないことの大切さを教えている。
 ナイチンゲールは「医療現場で犠牲やリスクを払っているなどとは決して考えない熱心な、明るい、活発な女性こそ、本当の看護婦というのです」と述べた。この看護婦を医療従事者に当てはめると患者にとって理想的な医療従事者になる。指導的立場として感染症認定看護師などの資格を取得する人達が増えるように配慮することである。
 当院は昨年の8月に院内コロナクラスターを発生した。職員にとって切実な衝撃であり、また周囲から驚きの注目を浴びた。職員全員はそれぞれの立場を良く弁えて、自分の役割をしっかり果したことにより、感染拡大を最小限に抑えることができた。そのことは大変立派なことであり、その経験から多くのことを学ぶことができた。そしてそれを記録として論文にまとめ今後の感染症対策の参考資料に、また他病院の方々にも役立ててもらうことは極めて意義のあることである。この論文は今年の2月に発刊する小樽市立病院誌第9巻に4つのコロナウイルス感染症の論文として掲載される。
 私は昨年の仕事納め日に講演を行った。そこで5年前に植樹した桜の木に5輪の花が咲いたので開花宣言を行った。そしてそれを記念して当院の4つの医療の質に1つ加えて5輪の医療の質を揚げたことを述べた。それは①診療の質で最新、高度、専門の医療、②安全、サービスの質で患者満足度とチーム医療、③経営の質で組織マネジメントと人事管理、④教育、人材育成の質で、組織は人なり、その人に必要な教育そして⑤地域、医療、人間における連携体制の質であり、地域社会における医療活動と人間交流である。この5輪の医療の質が円滑、円満に連絡、連動することによって当院の成長と発展をもたらす。
 病院の機能評価の再審査は2月17、18日に実施される。職員の皆さんはその準備に一生懸命に取り組んでいる。そこで重要な目的は審査に合格すること以上にその準備の過程で当院における自分達の業務をしっかり見直し、検討して、改善を図ることに心血を注ぐことである。審査員は全国の病院の医療レベルをよく知っている方々である。審査を受ける職員達は当院の現状に決して満足することなく、審査員から指摘された事項に対して礼儀正しく、素直に、真摯に応じることが大切である。大変貴重な経験になるので大いに頑張ることを期待する。
 この度の新型コロナウイルス感染症は医療界に大きな影響を及ぼし10年先の状態に前倒したと言われる。国の方針はデジタル化、オンライン通信、インターネットの活用、情報通信技術(ICT)、ロボット、人工知能(AI)などの普及促進を図ることである。当院は医療情報体制の整備、地域がん診療連携拠点病院に認定されるのでがん医療体制の充実、そして患者紹介、逆紹介患者を増やして地域医療支援病院の認定取得に力を注ぐことにする。その他各診療科、各部門は業務をしっかり見直し新しい時代に即する体制、運営になるように力を尽すことである。職員の皆さんにはPANが必要である。それは自分の状況をしっかり冷静に考えて、仕事の優先順位(Priority)を決めて、それを迅速かつ集中的に実行(Action)する。そして諦めない(Never give-up)で地道に努力することで難題は乗り越えられる。最近の皆さんの行動に成長がみられており頼もしく思う。
 職員皆さんの健康、健闘そして幸運を祈る。

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