札幌医科大学麻酔科学講座開講60周年記念祝賀会挨拶

 皆様方には何かとご多用のところ、またご遠方より札幌医科大学麻酔科学講座開講60周年記念祝賀会にご出席頂きましたこと心より感謝申し上げます。本日を迎えることは教室員および同門会員にとりましても喜ばしく、感慨深いものがあります。
 私は今日の朝に北海道神宮に参拝し、これまでの教室の発展に対するお礼とこれからの教室員の成長と教室の進展に対するお願いをしてきました。
 当教室は師弟関係にある3名の教授達が同じ環境、気風の中での仕事、生活を通して強い絆と連携のもとに良き伝統を引き継いできました。このことは幸運であり、ありがたく思います。
 この世の中で組織が発展し、生き延びていくためには10年毎に方針を見直し、改善を図ること、そして30年毎に時代の流れ、変化をよく見て、必要な改革を進めることが必要であると言われます。当教室は初代教授の高橋長雄先生が創設し、麻酔科の充実、発展そして啓発活動に力を尽されました。ちょうど30年が経った時に私が2代目教授として引き継ぎ、これまでの教室のあり方を見直し、新しい教室の目標と方針を明示しました。その目標は臨床、研究、教育の3分野の車輪をバランスの良くとれた3輪自動車として組み立てて、発展させることでした。基本方針は信頼、安心される臨床、臨床に基づく、役に立つ研究、医師として社会人として評価される麻酔科医の育成を掲げました。そして10年が経った時点から地域、大学、学会に貢献することに力を注ぎ、この分野の車輪を加えて4輪自動車として運営しました。私が22年間の教授職を終えて、3代目の山蔭道明教授に引き継ぎました。山蔭先生は私の時の4輪自動車を改良しながら8年間が経過し、この度、2回目の30年、すなわち60周年を迎え、これから新しい目標、方針を立てて改革を進めていくことになります。そこで私はこれまでの経験と見識から山蔭先生および教室員達に少しでも役立つ提言を贈ることに致します。
 これからの時代は変動が速く、大きく、多難な道を進むことになります。これまでの4輪自動車での活動は無理であることから、パワーのある、スピードの出る、安定性と効率性の高い新型の4輪駆動自動車の活用が必要になります。この車が円滑、円満に作動されるのと同様に教室の運営も行なわれることが大事であります。自動車の各部品、システムに相当する教室員達は自分の立場、役割をしっかり理解して、活動し、結果を出して、高い評価を受けるというプロ意識の高い麻酔科医になるよう心掛けることです。車を運転するすなわち教室の運営に当る山蔭教授は教室員達がお互い良きライバルとして正々堂々と競い合い、生き生きと遣り甲斐のある仕事、生活のできる環境づくりに、そしてお互いに信頼と尊敬し合える人間関係が築かれる雰囲気づくりに、さらに教室員の成長、教室の発展に謙虚、感謝、貢献の意識を持つ人づくりに心掛けることが大切であります。
 さて最近の日本麻酔科学会で注目される課題は女性麻酔科医の活用、活躍できる体制づくりです。現在日本麻酔科学会の総会員数は約12,000名であり、そのうち女性会員が4,500名と40%弱と多くなっており、しかも20~40代の適齢期の若い女性会員が2,600名と約6割を占めております。女性麻酔科医の活用、活躍は日本各地の麻酔科医不足だけでなく、社会問題になっている少子化対策にも大いに貢献するものと確信します。稲田英一日本麻酔科学会理事長には女性麻酔科医の活用、活躍を学会の重要課題として早急に取り上げ、真剣に対策を実行されることを期待します。そして山蔭教授にはこれからの教室の基本方針の一つにこの課題を取り上げて日本の麻酔科施設で最も早く、実績、成果を上げるよう力を尽すことを期待します。この女性活用、活躍課題は国の重要な政策の1つであります。女性国会議員が模範的な態度を持って国民を、女性をリードしていくことが大切です。しかし最近の女性国会議員の言動は呆れるばかりであり、女性議員だけでなく、働く女性の評価を大きく低下させております。その最低な状況を立て直すことのできる女性国会議員は本日ここに出席されている橋本聖子議員であると確信します。橋本聖子議員は若い時期に夏冬両オリンピックに出場し、大いに活躍しました。彼女は過酷な練習と緊張する試合を見事に乗り越えて来ました。その厳しい、貴重な経験を通して心身を鍛え、人格を磨き、そして良き人脈を築き、立派な社会人として成長しました。そしてこれまでの多くの方々からの協力、支援に報いるために国会議員となり、日本だけでなく世界の人々のために尽すことを心掛けて今日まで一生懸命に活動されてきております。このことは彼女と年齢差がありますが共に高校時代をスポーツ宣言都市苫小牧で過ごした私にとりまして誇りに思います。橋本聖子議員にはこれからスポーツ界だけでなく、医療界そしてこの女性活躍課題に関する政策の実行にこれまでの経験と人脈を最大限活用して、大いに活躍されることを期待します。
 私は挨拶中に「期待します」という言葉を多く用いました。その意味は期待する人を信頼、尊敬して夢や希望を託す。そして期待された人に少しでも役立つように支援、協力する。そのような円滑、円満な人間関係のなかで夢や希望が本当に実現すると言うことでした。
 それでは、これから始まる祝賀会が楽しく、有意義なものになることを念願して、2代目教授から皆様方へのお祝、感謝、激励の挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました。

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