平成24年度小樽市病院局の新体制と活動方針

はじめに

  平成24年4月24日経営戦略会議に引き続いて平成24年度第1回拡大経営戦略会議が開催された。本会議は今年度から病院統合新築問題が本格的、具体的に検討、実行されていくことになるので、これまでのメンバー20名に両病院の医療部長9名を加えて充実を図ることにした。

  第1回の会議の局長基調講演をスライド原稿の内容を補充して説明する。

 

1.新体制

1)拡大経営戦略会議の位置付け

 平成24年4月24日より小樽市立病院経営戦略会議設置要綱の1部の内容を下記の通り変更する。

  管理者(局長)は必要があると認めるときは、経営戦略メンバーの他に両病院の副院長、医局医療部長、薬局長、検査および放射線技師長を加えた拡大経営戦略会議を開催することができる。必要があると認めるときとは病院事業の経営方針、主要課題への対応等で各々の医療現場で責任者として活動、活躍しているメンバーから戦略会議で決定する事項への意見・質問を聴取する、また決定事項を円滑に実施されるために説明、指示を行う必要が生じた場合である。

 

2)統合を目指す病院局管理運営組織の構築

  目標は2年後には2つの病院が1つになることを念頭におき、これまでの考え方、体制のあり方に対する改善、改革を前向きに進めていき、新病院体制が円滑に実施されることを目差すことである。

 具体的な方針として全職員に周知を図るため小樽市病院局管理運営組織図を作成し院内ランに載せる。そこで重要な4事項については以下に述べる。

 

  1. 両病院合同会議:両院で共通する事項について検討する。今回10の委員会を設置する。
  2. 両院に共通する委員会:両院それぞれにおいて施設基準届出、設置規程、組織運営上において必要な委員会の名称を整理、統一する。
  3. 各種委員会の委員長ならびに委員の自覚と前向きな活動:それぞれの病院の背景、実情をよく理解した上で、委員会活動の目的、方針を明確にして実行する。
  4. 各種委員会が円滑に運営されるため事務職員を配置:委員会の縦、横の連携を図ることが大切であり、事務職員の果す役割は重要である。問題が生じた場合、委員長と相談し病院局にすみやかに報告し指示を受ける。

 

2.活動方針

1)今年度から特に力を注ぐべき活動と担当部署

 両院の診療機能・体制の見直しと改善
中心となる担当部署は機能評価検討・推進委員会である。

全国でおよそ2,500の施設で日本病院機能評価の認定を受けている。両病院が認定の準備をしてきたが審査を受けてこなかったことは日本の医療現況および市立病院の立場、将来に対して適切かつ迅速な対応をしてこなかったことにある。今から真剣にはじめなければ新病院においても認定が遅れる。

  1. ここで重要なことは現在両病院で実施されている医療内容を第三者から客観的に評価を受けて、改善、改革を図ることである。そのプロセスがしっかり実施されることが認定取得達成および新病院の充実、発展に大切になる。
  2. 病院の広報活動
    両小樽市立病院ではその活動そして将来性を市民、医療関係者に十分に認識されてこなかったこと、また職員も積極的に広報活動に携ってこなかったのが実情である。その対策が急務である。

a.職員向け:両病院の診療実績を院内ランに載せてあるがこれを常時みている職員は少ないことは残念である。

 4月から両病院の各診療科の紹介、逆紹介率を載せるようにした。近日中に両病院のランの機器をセンターにあるコメデックスに統一し、各職員持参のパソコンでも見えるようにする。絶えず医療状況を把握して患者から病院から求められることに活用してほしい。

 中心となる担当部署は院内ラン検討委員会である。

b.市民、地域住民向け:市民、地域住民向けの広報活動は両病院協力のもと熱心に取り組んでおり、外来患者の増加など効果が表われている。

 しかし、まだまだ魅力的で、有益な企画があると思うので振って企画を出してほしい。広報おたる、FM小樽などを利用する広報活動も行っていく。

 中心となる担当部署は・地域医療連携・市民教育講座委員会・広報誌・HP委員会である。

c.医療機関、医療者向け:これから地域医療連携室の役割は極めて重要である。両病院の入院患者数は伸びず、紹介率、逆紹介率が低いのは地域医療機関との連携が十分に実施されていないことを示す。

 この4月から樽病にソーシャルワーカー1名入れ、両病院3名の看護師2名の嘱託事務員の体制になる。十分な人員でないが病院外に向けての活動をしていく予定である。新病院では地域医療連携支援センターを目指すのでこれからの地域連携室の活躍を大いに期待する。病院の医療の質、実績を職員が客観的に知る。

 また大学はじめ医療機関に評価してもらう一手段として病院誌発刊がある。これが医師派遣、医師応募の参考となるのでその充実を期待する。

 また地域医療機関の医療者を対象とした講習会の開催も考える。

 中心となる担当部署は・地域医療連携室・病院誌・年報編集委員会である。

 

3.医師確保、医師招へい

 :局長、病院長、院長代行で北大、札医大の派遣先の医局への訪問、ホームページの応募広告、初期研修説明会出席、知り合いを通じての勧誘など可能な限りの活動を行っている。

  自治体病院に勤務する医師の不足は全国的に依然深刻であり、人員削減されないだけ幸せであるのが現状である。

 しかし初期臨床研修医、そして学生達は当院を高く評価している。これは先生方が若手医師そして彼らに対して親身に接し、教育熱心であるからである。このように若い医師、学生に評価、人気があるのは将来が楽しみである。

 中心となる担当部署は・病院経営管理部である。

 

2)新病院に向けて心掛けるべき活動と目的達成の要件

  1. 質の高い、信頼される医療
     ・高度な医療機器の整備、・充実した教育、指導体制、・各職種との良好なチーム医療を実現する。
  2. 健全な病院経営
     ・病院の明確な目標と方針、・職員のプロパー化、・外部評価を確立する。
  3. 働きがいのある医療環境
     ・医師の目指す医療の実現、・働きやすい環境、・働きに見合った待遇を考える。
  4. 地域医療機関との良好な医療連携
     ・オープン病棟の利用、・医師会活動の参加、・地域医療機関との勉強会に関わる。
  5. 中核の自治体病院になる自覚と責務
     ・総合病院としての役割、・救急患者、重症患者の受け入れ、・施設、設備機器の共同利用の推進を任う。

 

おわりに

 拡大経営戦略会議は平成22年に2回、平成23年に4回開催されており、今年度も情報公開、説明責任を大切にして適宜開催することにする。その一方メンバーの方々には病院統合、新築に向けて誠実で前向きな姿勢で取り組むことを切望する。

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