全国病院事業管理者協議会での活動

 今から10年前頃では特に公立病院の経営状況が厳しく、社会的に大きな問題となった。平成19年に国は公立病院改革プランを提示し、各自治体に経営努力するように強く指導した。小樽市は平成21年4月から全部適用(全適)を採用し、私に病院事業管理者として2つの病院の管理運営および統合・新築事業を任せた。

平成24年4月での全国の公立病院の経営形態は898病院のうち従来の一部適用482、全適352、独立法人64などであった。それが平成26年4月の時点では全適病院が208団体362病院(104,389床)と増加している。このうち全国病院事業管理者協議会には156団体、303病院と約75%が加盟している。この協議会は平成14年に設立され、その目的は「会員が管理する病院事業の健全化に資すること」である。主たる事業は定例会議「全国病院事業管理者・事務責任者会議」と病院事業管理者を対象とする「研修会」の開催そして会員相互の情報交換を図るために「年報」の発刊である。

 私は平成21年からこの協議会に参加しているが当初は小樽病院に関するネガティブな情報がインターネットやジャーナル、新聞等に報道されていたことから注目されていた。会員の中には心配してくれる者、励ましてくれる者など関心を示す者が多かった。当協議会のなかに私を援助しようと気を遣う役員の推薦により平成24年に幹事に就任した。役員の先生方の見識、実力、実績は誠にすばらしいものがあり感心した。幹事会ではいろいろな貴重な情報が入りまた活動を通して病院事業管理者としての仕事、役割について多くを学ぶことができ、病院運営に大いに役に立った。

目的達成のためポジティブな発想で行動してきたことで、現在新病院が竣工し開院が間近になっている。このことに会員から驚きと期待の言葉が掛けられる。

私の当協議会での活動は平成25年度全国病院事業管理者研修会でテーマ「失敗に学ぶ」の医師会対応についての講演を行った。平成26年度の研修会でテーマ「チャレンジ精神に学ぶ~志・気概・権限・改革・挑戦~」の2つの講演の座長を務めた。平成26年度全国病院事業管理者・事務責任者会議は8月28日、29日に鹿児島県立病院事業管理者が開催する。その会のテーマ「医師/医療従事者負担軽減策」についての座長を担当する。来年度の第14回の会議は私が小樽市で平成27年8月27日、28日にグランドパークホテルで開催することになっている。その準備を含めて今回は4名の事務職員を参加させる。来年は会員のなかに小樽市立病院の見学を希望するものが多いと思う。会議前日の幹事会は新病院の講堂で行うことを考えている。

平成26年7月に当協議会の年報第18号が発刊された。この中の「私の信条」コーナーに投稿した。その内容は「私は今年で古希を迎え、私の信条を考える良い機会である。札幌医科大学教授および日本麻酔科学会理事長を退職後、小樽市病院事業管理者に就任して早6年目を迎える。大学、学会の現職時の私の信条として、その1は与えられたチャンスは感謝して受ける、役割は謙虚な態度で果たす、仕事は責任を持って行う。その2は「オイアクマない精神」すなわち怒らない、威張らない、焦らない、腐らない、負けない態度で対応する。その3は自分の出来事に対して「人間万事塞翁が馬」のたとえのごとく、何が幸いするかしないかわからないので結果に対して一喜一憂せずに堂々としている。以上であった。退職から今日までは病院の統合、新築という大きな事業に責任の重い立場で従事することで貴重な信条を得た。それは自分一人では何もできないこと、自分は周囲の人達にとって活かされていること、自分は人に喜ばれ、役に立つ仕事にチャレンジし、結果を出すことで本当の生き甲斐を得る、そして周囲から要望されて立場、仕事に就いても、常に自分から適切な引き際を考えることであった。」である。

 新病院は全国的に注目されているので円滑、円満な開院そして運営が行なわれることが必須である。2つの病院が1つに統合されるのでなく、1つの新しい病院を創設するという大変重要な事態を迎えることになる。そのことを職員だけでなく市民もしっかり覚悟し行動することが大切である。大変とは大きく変わることであり新しい病院ではこれまでの慣例に捉われるのでなく、時代の要望に的確に即応し、与えられた病院の役割と責務を立派に果すことである。そのための情報、知識をえることが病院事業管理者として必要であり、これからも本協議会の活動に積極的に取り組んでいくことが強く求められる。

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